かずき》になみなみとつぎました。酒呑童子《しゅてんどうじ》は一息《ひといき》に飲《の》みほして、これもさもうまそうに舌鼓《したつづみ》をうちながら、
「これはうまい酒《さけ》だ。もう一ぱいくれ。」
と杯《さかずき》を出《だ》しました。頼光《らいこう》は心《こころ》の中ではしめたと思《おも》いながら、うわべは何気《なにげ》ない顔《かお》をして、
「どうもお口にかなって満足《まんぞく》です。それではお酒《さけ》だけではおさびしいでしょうから、こんどはおさかなをいたしましょう。」
といって、立《た》ち上《あ》がって、扇《おうぎ》をつかいながら舞《ま》いを舞《ま》いました。四|天王《てんのう》は声《こえ》を合《あ》わせて拍子《ひょうし》をとりながら、節《ふし》おもしろく歌《うた》を歌《うた》いました。
それを見《み》ると、酒呑童子《しゅてんどうじ》も、手下《てした》の鬼《おに》たちも、おもしろそうに笑《わら》いながら、すすめられるままに、「神《かみ》の方便《ほうべん》鬼《おに》の毒酒《どくざけ》」をぐいぐい引《ひ》き受《う》けて、いくらでも飲《の》みました。そのうちにだんだんお酒《さけ》
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