ないが、せっかくだからもらって帰《かえ》りましょう。だがわたしは年《とし》をとっているし、道《みち》も遠《とお》いから、軽《かる》い方《ほう》をもらっていくことにしますよ。」
 こう言《い》っておじいさんは、軽《かる》いつづらを背負《せお》わせてもらって、
「じゃあ、さようなら。また来《き》ますよ。」
「お待《ま》ち申《もう》しております。どうか気《き》をつけてお帰《かえ》り下《くだ》さいまし。」
 と言《い》って、すずめは門口《かどぐち》までおじいさんを送《おく》って出ました。

     三

 日が暮《く》れてもおじいさんがなかなかもどらないので、おばあさんは、
「どこへ出かけたのだろう。」
 とぶつぶつ言《い》っているところへ、おみやげのつづらを背負《せお》って、おじいさんが帰《かえ》って来《き》ました。
「おじいさん、今《いま》ごろまでどこに何《なに》をしていたんですね。」
「まあ、そんなにおおこりでないよ。今日《きょう》はすずめのお宿《やど》へたずねて行《い》って、たくさんごちそうになったり、すずめ踊《おど》りを見《み》せてもらったりした上に、このとおりりっぱなおみやげをも
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