舌切りすずめ
楠山正雄

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)子供《こども》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)すずめの子を一|羽《わ》

[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
−−

     一

 むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがありました。
 子供《こども》がないものですから、おじいさんはすずめの子を一|羽《わ》、だいじにして、かごに入《い》れて飼《か》っておきました。
 ある日おじいさんはいつものように山へしば刈《か》りに行って、おばあさんは井戸《いど》ばたで洗濯《せんたく》をしていました。その洗濯《せんたく》に使《つか》うのりをおばあさんが台所《だいどころ》へ忘《わす》れていった留守《るす》に、すずめの子がちょろちょろかごから歩《ある》き出《だ》して、のりを残《のこ》らずなめてしまいました。
 おばあさんはのりを取《と》りに帰《かえ》って来《き》ますと、お皿《さら》の中にはきれいにのりがありませんでした。そののりはみんなすずめがなめてしまったことが分《わか》かると、い
次へ
全12ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング