るなあ。」
とおじいさんは言《い》って、がっかりした顔《かお》をしていました。
二
おじいさんは、すずめが舌《した》を切《き》られてどこへ行ったか心配《しんぱい》でたまりませんので、あくる日は、夜《よ》があけるとさっそく出かけていきました。おじいさんは道々《みちみち》、つえをついて、
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「舌切《したき》りすずめ、
お宿《やど》はどこだ、
チュウ、チュウ、チュウ。」
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と呼《よ》びながら、あてもなくたずねて歩《ある》きました。野《の》を越《こ》えて、山を越《こ》えて、また野《の》を越《こ》えて、山を越《こ》えて、大きなやぶのある所《ところ》へ出ました。するとやぶの中から、
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「舌切《したき》りすずめ、
お宿《やど》はここよ。
チュウ、チュウ、チュウ。」
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という声《こえ》が聞《き》こえました。おじいさんは喜《よろこ》んで、声《こえ》のする方《ほう》へ歩《ある》いていきますと、やがてやぶの陰《かげ》にかわいらしい赤《あか》いおうちが見《み》えて、舌《した》を切《き》られたすずめ
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