すめ》を自分《じぶん》のお嫁《よめ》にもらいました。
 そのお嫁《よめ》さんは、毎日《まいにち》いろいろとめずらしいごちそうをこしらえて、王子《おうじ》に食《た》べさせていました。そのうち王子《おうじ》はだんだんわがままをいうようになって、しまいにはお嫁《よめ》さんをひどくしかりとばしたりしました。
 するとお嫁《よめ》さんも、とうとうがまんができなくなって、
「わたしはもうこれぎり生《う》まれた国《くに》へ帰《かえ》ってしまいます。もともとわたしはあなたのような人のお嫁《よめ》になって、ばかにされるために生《う》まれた女ではないのです。」
 といって、おこって一人《ひとり》ずんずん小舟《こぶね》に乗《の》って、日本《にっぽん》の国《くに》へ逃《に》げて行きました。そして摂津《せっつ》の難波《なにわ》の津《つ》まで来《き》てそこに住《す》みました。それが後《のち》に、阿加流姫《あかるひめ》の神《かみ》という神《かみ》さまにまつられました。
 新羅《しらぎ》の王子《おうじ》の天日矛《あまのひぼこ》は、このお嫁《よめ》さんの後《あと》を追《お》って、日本《にっぽん》の国《くに》へ渡《わた》
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