赤い玉
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)大国主命《おおくにぬしのみこと》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)ある日|一人《ひとり》
−−

     一

 これも大国主命《おおくにぬしのみこと》が、八千矛《やちほこ》をつえについて、国々《くにぐに》をめぐって歩《ある》いておいでになる時《とき》のことでした。ある時《とき》摂津国《せっつのくに》の難波《なにわ》の津《つ》までおいでになりますと、見慣《みな》れない神《かみ》さまが、海《うみ》を渡《わた》って向《む》こうからやって来《き》ました。命《みこと》が、
「あなたはだれです。」
 とお聞《き》きになりますと、その神《かみ》さまは、
「わたしは新羅《しらぎ》の国《くに》からはるばる渡《わた》って来《き》た天日矛命《あまのひぼこのみこと》というものです。どうぞこの国《くに》の中で、わたしの住《す》む土地《とち》を貸《か》して頂《いただ》きたい。」
 と頼《たの》みました。命《みこと》はしばらく考《かんが》えておいでになりましたが、
「この国《くに》はわたしの治《おさ》めている土
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