いいました。
「わたしだよ。すぐにあけておくれ。」
と、おばあさんらしい声《こえ》が聞《き》こえました。
「でもあけてはいけないんだって、おとうさんとおかあさんがそういったから。」
と、女の子はいいました。
「何《なん》だって。よしよし、あけてくれなければ、この戸《と》をけ破《やぶ》ってやる。」
こういっていきなり戸《と》に手をかけて、みりみり動《うご》かしながら、両足《りょうあし》でどんどん、どんどん、けつけました。女の子はびっくりして、困《こま》って、しかたがないものですから、戸《と》をあけてやりました。
戸《と》をあけると、ぬっと、おそろしい顔《かお》をした山姥《やまうば》が入《はい》って来《き》て、炉《ろ》ばたに足《あし》をなげ出《だ》して、
「おお、寒《さむ》い、寒《さむ》い。」
といいました。
「おばあさん、何《なに》しに来《き》たの。」
と、女の子はたずねました。
「おなかがすいた。早《はや》く御飯《ごはん》の支度《したく》をしろ。」
と、山姥《やまうば》はこわい顔《かお》をしていいつけました。
女の子はぶるぶるふるえながら、台所《だいどころ》へ行って、御
前へ
次へ
全19ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング