山姥の話
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)山姥《やまうば》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|里《り》先《さき》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから4字下げ]
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山姥《やまうば》と馬子《まご》
一
冬《ふゆ》の寒《さむ》い日でした。馬子《まご》の馬吉《うまきち》が、町《まち》から大根《だいこん》をたくさん馬《うま》につけて、三|里《り》先《さき》の自分《じぶん》の村《むら》まで帰《かえ》って行きました。
町《まち》を出たのはまだ明《あか》るい昼中《ひるなか》でしたが、日のみじかい冬《ふゆ》のことですから、まだ半分《はんぶん》も来《こ》ないうちに日が暮《く》れかけてきました。村《むら》へ入《はい》るまでには山を一つ越《こ》さなければなりません。ちょうどその山にかかった時《とき》に日が落《お》ちて、夕方《ゆうがた》のつめたい風《かぜ》がざわざわ吹《ふ》いてきました。馬吉《うまきち》は何《なん》だかぞくぞくしてきましたが、しかたがないので、心《こころ》
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