を掘《ほ》って、土俵《どひょう》をこしらえました。
はじめに猿《さる》とうさぎが取《と》り組《く》んで、鹿《しか》が行司《ぎょうじ》になりました。うさぎが猿《さる》のしっぽをつかまえて、土俵《どひょう》の外《そと》へ持《も》ち出《だ》そうとしますと、猿《さる》がくやしがって、むちゃくちゃにうさぎの長《なが》い耳《みみ》をつかんでひっぱりましたから、うさぎはいたがって手《て》をはなしました。それで勝負《しょうぶ》がつかなくなって、どちらもごほうびがもらえませんでした。
こんどはうさぎが行司《ぎょうじ》になって、鹿《しか》と熊《くま》が取《と》り組《く》みましたが、鹿《しか》はすぐ角《つの》ごと熊《くま》にひっくり返《かえ》されてしまいました。金太郎《きんたろう》は、
「おもしろい、おもしろい。」
と言《い》って手《て》をたたきました。とうとういちばんおしまいに金太郎《きんたろう》が土俵《どひょう》のまん中につっ立《た》って、
「さあ、みんなかかって来《こ》い。」
と言《い》いながら、大手《おおで》をひろげました。そこでうさぎと、猿《さる》と、鹿《しか》と、いちばんおしまいに熊《く
前へ
次へ
全13ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング