言《い》いました。金太郎《きんたろう》は、「よし、よし。」とうなずいて、みんな家来《けらい》にしてやりました。
 それからは金太郎《きんたろう》は、毎朝《まいあさ》おかあさんにたくさんおむすびをこしらえて頂《いただ》いて、森《もり》の中へ出《で》かけて行きました。金太郎《きんたろう》が口笛《くちぶえ》を吹《ふ》いて、
「さあ、みんな来《こ》い。みんな来《こ》い。」
 と呼《よ》びますと、熊《くま》を頭《かしら》に、鹿《しか》や猿《さる》やうさぎがのそのそ出て来《き》ました。金太郎《きんたろう》はこの家来《けらい》たちをお供《とも》に連《つ》れて、一|日《にち》山の中を歩《ある》きまわりました。ある日|方々《ほうぼう》歩《ある》いて、やがてやわらかな草《くさ》の生《は》えている所《ところ》へ来《き》ますと、みんなは足《あし》を出《だ》してそこへごろごろ寝《ね》ころびました。日がいい心持《こころも》ちそうに当《あ》たっていました。金太郎《きんたろう》が、
「さあ、みんなすもうを取《と》れ。ごほうびにはこのおむすびをやるぞ。」
 と言《い》いますと、熊《くま》がむくむくした手《て》で地《ち》
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