ぐはかるく羽《は》うちわであしらいました。
この時《とき》からてんぐは毎晩《まいばん》牛若《うしわか》に剣術《けんじゅつ》をおしえてくれました。牛若《うしわか》はずんずん剣術《けんじゅつ》がうまくなりました。
するうち、牛若《うしわか》が毎晩《まいばん》おそく僧正《そうじょう》ガ谷《たに》へ行って、あやしい者《もの》から剣術《けんじゅつ》をおそわっているということを和尚《おしょう》さんに告《つ》げ口《ぐち》したものがありました。和尚《おしょう》さんはびっくりして、さっそく牛若《うしわか》をよんで、髪《かみ》を剃《そ》って坊《ぼう》さんにしようとしました。牛若《うしわか》は、
「いやです。」
といいながら、いきなり小太刀《こだち》に手をかけて、こわい顔《かお》をして和尚《おしょう》さんをにらめました。
その勢《いきお》いにおそれて、髪《かみ》を剃《そ》ることは止《や》めました。
牛若《うしわか》はこうしているとまた、
「坊《ぼう》さんになれ。」
といわれるにちがいないと思《おも》って、ある日《ひ》そっと鞍馬山《くらまやま》を下《お》りて京都《きょうと》へ出ました。
牛若《う
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