牛若と弁慶
楠山正雄

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)源氏《げんじ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|人《にん》の子供《こども》
−−

     一

 むかし源氏《げんじ》と平家《へいけ》が戦争《せんそう》をして、お互《たが》いに勝《か》ったり負《ま》けたりしていた時《とき》のことでした。源氏《げんじ》の大将《たいしょう》義朝《よしとも》には、悪源太義平《あくげんたよしひら》や頼朝《よりとも》のほかに今若《いまわか》、乙若《おとわか》、牛若《うしわか》、という三|人《にん》の子供《こども》がありました。ちょうどいちばん小《ちい》さい牛若《うしわか》が生《う》まれたばかりのとき、源氏《げんじ》の旗色《はたいろ》が悪《わる》くなりました。義朝《よしとも》は負《ま》けて、方々《ほうぼう》逃《に》げかくれているうちに、家来《けらい》の長田忠致《おさだのただむね》というものに殺《ころ》されました。
 平家《へいけ》の大将《たいしょう》清盛《きよもり》は、源氏《げんじ》にかたきを取《と》られることをこわがって、義朝《よしとも》の子供《こど
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