んし》さまも阿倍《あべ》の仲麻呂《なかまろ》の子孫《しそん》だということをお聞《き》きになって、およろこびになり、保名親子《やすなおやこ》の願《ねが》いをお聞《き》き届《とど》けになりました。そこで童子《どうじ》はからすに聞《き》いたとおり占《うらな》いを立《た》てて申《もう》し上《あ》げました。御所《ごしょ》の役人《やくにん》たちはふしぎに思《おも》って、なかなか信用《しんよう》しませんでしたが、何《なに》しろ困《こま》りきっているところでしたから、ためしに御寝所《ごしんじょ》の東北《うしとら》の柱《はしら》の下を掘《ほ》らしてみますと、なるほど童子《どうじ》のいったとおり、火《ひ》のような息《いき》をはきかけはきかけ戦《たたか》っている蛇《へび》と蛙《かえる》を見《み》つけて、追《お》い出《だ》して、捨《す》てました。するとまもなく天子《てんし》さまの御病気《ごびょうき》は薄紙《うすがみ》をへぐように、きれいに治《なお》ってしまいました。
天子《てんし》さまは大《たい》そう阿倍《あべ》の童子《どうじ》の手柄《てがら》をおほめになって、ちょうど三|月《がつ》の清明《せいめい》の季節
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