がっていました。体中《からだじゅう》、もうそれは搾木《しめぎ》にかけられたようにぎりぎり痛《いた》んで、立《た》つことも座《すわ》ることもできません。そこで保名《やすな》は心《こころ》のうちには気《き》の毒《どく》に思《おも》いながら、毎日《まいにち》あおむけになって寝《ね》たまま、親切《しんせつ》な娘《むすめ》の世話《せわ》に体《からだ》をまかしておくほかはありませんでした。
保名《やすな》の体《からだ》が元《もと》どおりになるにはなかなか手間《てま》がかかりました。娘《むすめ》はそれでも、毎日《まいにち》ちっとも飽《あ》きずに、親身《しんみ》の兄弟《きょうだい》の世話《せわ》をするように親切《しんせつ》に世話《せわ》をしました。保名《やすな》の体《からだ》がすっかりよくなって、立《た》って外《そと》へ出歩《である》くことができるようになった時分《じぶん》には、もうとうに秋《あき》は過《す》ぎて、冬《ふゆ》の半《なか》ばになりました。森《もり》の奥《おく》の住《す》まいには、毎日《まいにち》木枯《こが》らしが吹《ふ》いて、木《こ》の葉《は》も落《お》ちつくすと、やがて深《ふか》い雪
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