ばりおじいさんは、
「うん、ここか。しめたぞ、しめたぞ」
といいながら、ほりはじめましたが、ほっても、ほっても出てくるものは、石ころやかわらのかけらばかりでした。それでもかまわず、やたらにほって行きますと、ぷんとくさいにおいがして、きたないものが、うじゃうじゃ、出てきました。欲ばりおじいさんは、「くさい」とさけんで、鼻《はな》をおさえました。そうして、腹立《はらだ》ちまぎれに、いきなりくわ[#「くわ」に傍点]をふり上げて、白《しろ》のあたまから打ちおろしますと、かわいそうに、白はひと声《こえ》、「きゃん」とないたなり、死んでしまいました。
正直《しょうじき》おじいさんとおばあさんは、あとでどんなにかなしがったでしょう。けれども死んでしまったものはしかたがありませんから、涙《なみだ》をこぼしながら、白の死骸《しがい》を引きとって、お庭のすみに穴をほって、ていねいにうずめてやって、お墓《はか》の代《かわ》りにちいさいまつの木を一本、その上にうえました。するとそのまつが、みるみるそだって行って、やがてりっぱな大木《たいぼく》になりました。
「これは白の形見《かたみ》だ」
こうおじいさんは
前へ
次へ
全8ページ中3ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング