花咲かじじい
楠山正雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)正直《しょうじき》
[#]:入力者注。傍点の位置を示す
(例)くわ[#「くわ」に傍点]
−−
一
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。
正直《しょうじき》な、人のいいおじいさんとおばあさんどうしでしたけれど、子どもがないので、飼犬《かいいぬ》の白《しろ》を、ほんとうの子どものようにかわいがっていました。白も、おじいさんとおばあさんに、それはよくなついていました。
すると、おとなりにも、おじいさんとおばあさんがありました。このほうは、いけない、欲《よく》ばりのおじいさんとおばあさんでした。ですから、おとなりの白をにくらしがって、きたならしがって、いつもいじのわるいことばかりしていました。
ある日、正直おじいさんが、いつものようにくわ[#「くわ」に傍点]をかついで、畑をほりかえしていますと、白も一緒《いっしょ》についてきて、そこらをくんくんかぎまわっていましたが、ふと、おじいさんのすそをくわえて、畑のすみの、大きなえのきの木の下までつれて行って、前足
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