で土をかき立てながら、
   「ここほれ、ワン、ワン。
    ここほれ、ワン、ワン」
となきました。
「なんだな、なんだな」
と、おじいさんはいいながら、くわ[#「くわ」に傍点]を入れてみますと、かちりと音がして、穴のそこできらきら光るものがありました。ずんずんほって行くと、小判《こばん》がたくさん、出てきました。おじいさんはびっくりして、大きな声でおばあさんをよびたてて、えんやら、えんやら、小判をうちのなかへはこび込みました。
 正直《しょうじき》なおじいさんとおばあさんは、きゅうにお金持ちになりました。


     二

 すると、おとなりの欲《よく》ばりおじいさんが、それをきいてたいへんうらやましがって、さっそく白《しろ》をかりにきました。正直おじいさんは、人がいいものですから、うっかり白をかしてやりますと、欲ばりおじいさんは、いやがる白の首《くび》になわをつけて、ぐんぐん、畑のほうへひっぱって行きました。
「おれの畑にも小判がうまっているはずだ。さあ、どこだ、どこだ」
といいながら、よけいつよくひっぱりますと、白は苦しがって、やたらに、そこらの土をひっかきました。欲《よく》
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