言して、わたしたちの運命《うんめい》を決めることになった。それからかの女は監獄《かんごく》へ行って、お父さんの意見も聞いた。そんなことに一週間かかって、最後《さいご》にわたしたちを集めて、取り決めた次第を言って聞かした。
リーズはモルヴァンのかの女のうちへ行って養《やしな》われることになった。アルキシーはセヴェンヌ山のヴァルスで鉱夫《こうふ》を勤《つと》めているおじの所へ行く。バンジャメンはセン・カンテンで植木屋をしているもう一人のおじの所へ行く。そしてエチエネットはシャラント県のエナンデ海岸にいるおばの所へ行くことになった。
わたしはこういう取り計らいをわきで聞きながら、自分の番になるのを待っていた。ところがカトリーヌおばさんはそれで話をやめてしまって、とうとうわたしのことは話が出ずにしまった。
「ではぼくは……」とわたしは言った。
「だっておまえはこのうちの人ではないもの」
「ぼくはあなたがたのために働《はたら》きます」
「おまえさんはこのうちの人ではないよ」
「わたしがどんなに働《はたら》けるか、アルキシーにでもバンジャメンにでもたずねてください。わたしは仕事が好《す》きです
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