はたら》けるように、元気よく早くから起きられるようにしなければならなかった。それで四時二、三分まえにわたしたちはみんな仕度ができた。
「さあ、みんな行こう」とお父さんがゆかいらしくさけんだ。「わたしは門にかぎをかけるから」
「来い、カピ」
リーズの手を取って、わたしは走りだした。カピはうれしそうにはねながらついて来た。また旅かせぎに出るのだと思ったのかもしれない。この犬は旅がやはり好《す》きであった。こうしてうちにいては、思うようにわたしにかまってはもらえなかった。
わたしたちは日曜日の晴れ着を着て、ごちそうになりに行く仕度をしていたので、なかなかきれいであった。わたしたちが通るとふり返って見る人たちもあった。わたしは自分がどんなふうに見えるかわからなかったけれど、リーズは水色の服に、ねずみ色のくつをはいて、このうえなく活発なかわいらしいむすめであった。
時間が知らないまにずんずん過《す》ぎていった。
わたしたちは庭のにわとこ[#「にわとこ」に傍点]の木の下でごちそうを食べていた。するとちょうどおしまいになりかけたとき、わたしたちの一人が、ずいぶん空が暗くなったと言いだした。雲
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