らしく、もみ手をしながら、うっとりながめ入っていた。
「ことしは天気がいいなあ」
 こうかれはむすこたちをふり返って言っていた。
 かれはくちびるに微笑《びしょう》をたたえて、胸《むね》の中では、これだけ売ればいくらになるという勘定《かんじょう》をしていた。
 ここまでするには、みんなずいぶん骨《ほね》を折《お》った。一時間と休憩《きゅうけい》するひまなしに働《はたら》いたし、日曜日でも休まなかった。でももうとうげはこしたし、すっかり売り出しの準備《じゅんび》ができあがったので、そのほうびとして、八月五日の日曜日の夕方、わたしたち残《のこ》らずうちそろってアルキュエイまで、お父さんの友人で、やはり植木屋|仲間《なかま》のうちへごちそうを食べに行くことが決定されていた。カピも一行の一人になるはずであった。わたしたちは四時まで働《はたら》くことにして、仕事がすんだところで、門に錠《じょう》をかって、アルキュエイまで行くことになった。晩食《ばんしょく》は八時にできるはずであった。晩食がすんでわたしたちはすぐうちへ帰ることにした。ねどこにはいるのがおそくならないように、月曜の朝にはいつでも働《
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