手には赤んぼうの着物、同じカシミアの外とう、レースのボンネット、毛糸のくつなどをかかえていた。かの女がこれらの品物を机《つくえ》に置《お》くか置かないうちに、わたしはかの女をだきしめた。わたしがかの女にあまえているあいだに、ミリガン夫人《ふじん》は召使《めしつか》いに何か言いつけた。そのときほんの、「ジェイムズ・ミリガン」という名を聞いただけであったが、わたしは青くなった。
「あなたはなにもこわがることはないのよ」とミリガン夫人《ふじん》は優《やさ》しく言った。「ここへおいで。あなたの手をわたしの手にお置《お》きなさい」
ジェイムズ・ミリガン氏《し》は例《れい》の白いとんがった歯をむき出して、にこにこしながらはいって来た。ところがわたしの顔を見ると、微笑《びしょう》がものすごい渋面《じゅうめん》になった。ミリガン夫人《ふじん》はかれにものを言うひまをあたえなかった。
「あなたにおいでを願《ねが》いましたのは」と、ミリガン夫人《ふじん》はやや声をふるわせながら言った。「長男がやっと見つかりましたので、あなたにお引き合わせしたいとぞんじまして」こう言ってかの女はわたしの手をにぎりしめた。
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