くさんだね。りっぱなおくさんだね」
「アーサにも会ったかい」
「ほんの遠方から。でもりっぱな子どもだということはよくわかった」
 わたしはまだマチアに質問《しつもん》し続《つづ》けた。けれどもかれは、何事もぼんやりとしか答えなかった。
 わたしたちは相変《あいか》わらずぼろぼろの旅仕度であったが、ホテルでは黒の礼服に白のネクタイをした給仕《きゅうじ》に案内《あんない》をされた。かれはわたしたちを居間《いま》へ連《つ》れて行った。わたしたちの寝部屋《ねべや》をわたしはどんなに美しいと思ったろう。そこには白い寝台《ねだい》がならんでいた。窓《まど》は湖水を見晴らす露台《ろだい》に向かって開いていた。給仕は「夕食にはなんでもお好《この》みのものを」と言った。そうして、よければ露台へ食卓《しょくたく》を出そうかとも言った。
「タルトがありますか」とマチアがたずねた。
「へえ、大黄《だいおう》のタルトでも、いちごのタルトでも、すぐりの実のタルトでも」
「よし。ではそのタルトをぜひ出してください」
「三|種《しゅ》ともみんな出しますか」
「むろん」
「それからお食事は。肉はなんにいたしましょう。野
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