れでおくさんはどちらに行かれたのでしょう」とマチアがたずねた。
「おくさんはヴヴェーに別荘《べっそう》を持っておいでだ。だがどのへんだかわからない。なんでも夏はそこへ行ってくらすことになっているのだ」
わたしたちはヴヴェーに向かって出発した。もう向こうはずんずん歩いて行く旅ではない、足を止めているのだから、ヴヴェーへ行って探《さが》せば、きっとわかる。
こうしてわたしたちがヴヴェーに着いたときには、かくしに三スーの金と、かかとをすり切った長ぐつだけが残《のこ》った。でもヴヴェーは思ったように小さな村ではなかった。それはかなりな町で、ミリガン夫人《ふじん》はとか、病人の子どもとおしのむすめを連《つ》れたイギリスのおくさんはとか言ってたずねたところで、いっこうばかげていることがわかった。ヴヴェーにはずいぶんたくさんのイギリス人がいた。その場所はほとんどロンドン近くの遊山場《ゆさんば》によく似《に》ていた。いちばんいいしかたは、あの人たちが住んでいそうな家を一けん一けん探《さが》して歩くことである。そしてそれはたいしてむずかしいことではないであろう。わたしたちはただ町まちで音楽をやって歩
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