なにがそこにあったか。相変《あいか》わらず鉄の格子《こうし》と、高いかべが前にあった。わたしは出ることができない。けれどばかげた考えではあっても、わたしは自由になることを待ちもうけていた。
 朝の風が耳がちぎれるように寒かったけれど、わたしは窓《まど》のそばに立ち止まって、なにを見るということなしに見て、なにを聞くということなしに耳を立てた。
 大きな白い雲が空にうかんだ。夜明けであった。わたしの心臓《しんぞう》ははげしく鼓動《こどう》した。
 するとかべをがりがり引っかく音が聞こえた。でも足音をすこしも聞かなかった。わたしは耳をすませた。引っかく音が続《つづ》いた。ぬっと人の頭がかべの上に現《あらわ》れた。うす暗い光の中にわたしはボブを見つけた。
 かれは鉄格子《てつごうし》に顔をおしつけて、わたしを見た。
「静《しず》かに」とかれはそっと言った。
 かれはわたしに窓《まど》からどけという合図をした。ふしぎに思いながら、わたしは服従《ふくじゅう》した。かれは豆鉄砲《まめでっぽう》を口に当ててふいた。かわいらしい鉄砲玉《てっぽうたま》が空をまって、わたしの足もとに落ちた。ボブの頭が消え
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