そばに来て、わたしのことを思っていることを知らそうとしたのであった。かれはまさしく窓《まど》の外の往来《おうらい》にいるのであった。わたしは足音とおおぜいのぶつぶつ言う声を聞いた。マチアとボブが、きっと演芸《えんげい》を始めているのであった。
 ふとわたしはよくとおる声で、「あした夜明けに」とフランス語で言う声を聞いた。わたしはそれがなんのことだか確《たし》かにはわからなかった。とにかくあしたの夜明けにはしっかり気を張《は》っていなければならなかった。
 暗くなるとさっそくわたしはハンモックにはいった。たいへんつかれてはいたけれど、ねこむにはなかなか手間がとれた。そのうちやっとぐっすりねこんだ。目が覚《さ》めるともう夜中であった。星は暗い空にかがやいて、沈黙《ちんもく》がすべてを支配《しはい》していた。時計は三時を打った。わたしはこれで一時間、これで十五分と勘定《かんじょう》していた。かべによりかかりながら、じっと目を窓《まど》に向けて、星が一つ一つ消えてゆくのをながめた。遠方には鶏《とり》がときを作る声が聞こえた。もう明け方であった。
 わたしはごく静《しず》かに窓《まど》を開けた。
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