に住まっていた」と、マチアはこれまでよりはいっそう思い切った調子で答えた。「それでもし、ぽくたちが牢屋《ろうや》へやられればもう、きみのほんとうのうちの人を探《さが》すこともできなくなるだろう。それにミリガン夫人《ふじん》にも、あのジェイムズ・ミリガンに気をつけるように言ってやりたい。あの人がアーサにどんなことをしかねないか、きみは考えないのだ。まあ行けるうちに少しも早く行こうじゃないか」
「まあもう二、三日考えさしてくれたまえ」とわたしは言った。
「では早くしたまえ。大男|退治《たいじ》のジャックは肉のにおいをかいだ――ぼくは危険《きけん》のにおいをかぎつけている」
 こんなふうにして煮《に》えきれずにいるうちに、とうとうぐうぜんの事情《じじょう》が、わたしに思い切ってできなかったことをさせることになった。それはこうであった。
 わたしたちがロンドンを立ってから数週間あとであった。父親は競馬《けいば》のあるはずの町で、屋台店の車を立てようとしていた。マチアとわたしは商売のほうになにも用がないので、町からかなりへだたっていた競馬場《けいばじょう》を見に行った。
 イギリスの競馬場のぐる
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