にちがいないから。それにフランスへ行けば、ミリガン夫人《ふじん》とアーサを見つけるかもしれない。アーサが加減《かげん》が悪いのだと、夫人《ふじん》はきっと船に乗せて来るだろう。もうだんだん夏になってくるから」
 でもわたしはかれに、どうしてもこのままいなければならないと言った。
 その日わたしたちは出発した。その午後かれらがごくわずかの値打《ねう》ちしかない品物を売るところを見た。わたしたちはある大きな村に着くと、馬車は広場に引き出されていた。その馬車の横側《よこがわ》は低《ひく》くなっていて、買い手の欲《よく》をそそるように美しく品物がならんでいた。
「値段《ねだん》を見てください。値段を見てください」と父親はさけんだ。「こんな値段はどこへ行ったってあるものじゃありません。まるで売るんじゃない。ただあげるのだ。さあさあ」
「あいつはどろぼうして来たにちがいない」
 品物の値段《ねだん》づけを見た往来《おうらい》の人がちょいちょいこう言っているのをわたしは聞いた。かれらがもしそのとき、そばでわたしがきまり悪そうな顔をしているのを見たら、いよいよ推察《すいさつ》の当たっていることを知った
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