《けいけん》とちえで、のちに困難《こんなん》におちいった場合、わたしたちのひじょうな力になったのであった。
マチアの心配
春の来るのはおそかったが、とうとう一家がロンドンを去る日が来た。馬車がぬりかえられて、商品が積《つ》みこまれた。そこにはぼうし、肩《かた》かけ、ハンケチ、シャツ、膚着《はだぎ》、耳輪《みみわ》、かみそり、せっけん、おしろい、クリーム、なんということなしにいろいろなものが積《つ》まれた。
馬車はもういっぱいになった。馬が買われた。どこからどうして買ったか、わたしは知らなかったが、いつのまにか馬が来ていた。それでいっさい出発の用意ができた。
わたしたちは、いったい祖父《そふ》といっしょにうちに残《のこ》るのか、一家とともに出かけるのか、知らずにいた。けれど父親はわたしたちが音楽でなかなかいい金を取るのを見て、まえの晩《ばん》わたしたちにかれについて行って音楽をやれと言いわたした。
「ねえ、フランスへ帰ろうよ」とマチアは勧《すす》めた。「いまがいいしおどきだ」
「なぜイギリスを旅行して歩いてはいけないのだ」
「なぜならここにいると、きっとなにか始まる
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