というものだ。おれは奇跡を心配しない。あれが死ねば、あの財産《ざいさん》の相続人《そうぞくにん》はおれのほかにはないのだ』
『ご心配なさいますな。わたしが見ています』とドリスコルさんが言った。
『ああ、おまえに任《まか》せておくよ』とミリガン氏《し》が答えた」
 これがマチアの話すところであった。
 マチアのこの話を聞きながら、わたしの初《はじ》めの考えは、父親にすぐたずねてみることであったが、立ち聞きをされたことを知らせるのは、かしこいしかたではなかった。ミリガン氏《し》は父親と打ち合わせる仕事があるとすれば、たぶんまたうちへ来るだろう。このつぎは向こうで顔を知らないマチアが、あとをつけることもできる。
 それから二、三日ののち、マチアはぐうせん往来《おうらい》で、以前《いぜん》ガッソーの曲馬団《きょくばだん》で知り合いになったイギリス人のボブに出会った。わたしはとちゅうでかれがマチアにあいさつするところを見て、ひじょうに仲《なか》のいいことがわかった。
 かれはまたすぐとカピやわたしが好《す》きになった。その日からわたしたちはこの国に一人、しっかりした友だちができた。かれはその経験
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