にならなかった」とかれは続《つづ》けた。「だからねむるつもりであすこへはいった。だがぼくはねむれずにいた。するうちきみの父さんと一人の紳士《しんし》がうまやの中へはいって来た。その人たちの言うことを残《のこ》らずぼくは聞いたのだ。はじめはぼくも聞く耳を立てるつもりではなかったが、のちにはそれをしずにいられないようになった。
『どうして、岩のようにじょうぶだ』とその紳士《しんし》が言った。『十人に九人までは死ぬものだが、あれは肺炎《はいえん》の危険《きけん》を通りこして来た』
『おいごさんはどうですね』ときみの父さんがたずねた。
『だんだんよくなるよ。三月《みつき》まえも医者がまたさじを投げた。だが母親がまた救《すく》った。いや、あれはふしぎな母親だよ。ミリガン夫人《ふじん》という女は』
 ぼくがこの名前を聞いたとき、どうして窓《まど》に耳をくっつけずにはいられたと思うか。
『ではおいごさんがよくなるのでは、あなたの仕事はむだですね』ときみの父さんがことばを続《つづ》けた。
『さしあたりはまずね』ともう一人が答えた。『だがアーサがこのうえ生きようとは思えない。それができれば奇跡《きせき》
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