た子どもか」とかれは言った。「なかなかじょうぶそうだね」
「だんなにごあいさつしろ」と父親がわたしに言った。
「ええ、ぼくはごくじょうぶです」
こうわたしはびっくりして答えた。
「おまえは病気になったことはなかったか」
「一度|肺炎《はいえん》をやりました」
「はあ、それはいつだね」
「三年まえです。ぼくは一晩《ひとばん》寒い中でねました。いっしょにいた親方はこごえて死にましたし、ぼくは肺炎になりました」
「それからからだの具合はなんともないか」
「ええ」
「つかれることはないか、ねあせは出ないか」
「ええ。つかれるのはたくさん歩いたからです。けれどほかに具合の悪いところはありません」
かれはそばへ寄《よ》ってわたしのうでにさわった。それから頭を心臓《しんぞう》にすりつけた。今度は背中《せなか》と胸《むね》にさわって、大きく息をしろと言った。かれはまたせきをしろとも言った。それがすむと、かれは長いあいだわたしの顔を見た。そのときわたしはかれがかみつこうとするのだと思ったほど、かれの歯はおそろしい笑《わら》い顔《がお》のうちに光った。しばらくしてかれは父親といっしょに出て行った。
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