はわたしたちの寝台《ねだい》の向こうについていたのを、さっきはカーテンがかかっていたのでとこにはいるとき気がつかなかったのであった。この窓の上部はマチアの寝台《ねだい》に近く、下部はわたしの寝台に近かった。カピがうちじゅうを起こしてはいけないと思って、わたしはかれの口に手を当てて、それから外をながめた。
 すると父親がうまやにはいって来て、静《しず》かに向《む》こう側《がわ》のドアを開けた。そして二人、肩《かた》に重い荷をせおった男を外から呼《よ》び入れて、やはり用心深い様子で、またドアを閉《し》めた。それからかれはくちびるに指を当てて、ちょうちんを持った片手《あたて》でわたしたちのねむっている事に指さしをした。わたしはほとんどそんな心配は要《い》りませんと言って、声をかけようとしたが、もうマチアがよくねむっていると思ったから、それを起こすまいと思って、そっとだまっていた。
 父親はそのとき二人の男に手伝《てつだ》って荷物のひもをほどかせて、やがて見えなくなったが、まもなく母親を連《つ》れてもどって来た。かれのいないあいだに二人の男は荷物の封《ふう》を開いた。中にはぼうしと下着とくつ下
前へ 次へ
全326ページ中232ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング