だんだん夜がふけるに従《したが》って、とりとめもない恐怖《きょうふ》がわたしを圧迫《あっぱく》した。わたしは不安《ふあん》に感じたが、なぜわたしが、そう感じたのかわからない。なにをわたしはおそれているのか。このロンドンのびんぼう町で馬車小屋の中にとまることがこわいのではない。これまでの流浪生活《るろうせいかつ》で、いく度《たび》わたしは今夜よりも、もっとたよりない夜を明かしたことがあったであろう。わたしは現在《げんざい》あらゆる危険《きけん》から庇護《ひご》されていることはわかっているのに、恐怖《きょうふ》がいよいよつのって、もうふるえが出るまでになっている。
時間はだんだんたっていった。ふとうまやの向こうの、往来《おうらい》に向かったドアの開く音がした。それから五、六|度《たび》間《ま》を置《お》いて規則《きそく》正しいノックが聞こえた。やがて明かりが馬車の中にさしこんだ。わたしはびっくりしてあわててそこらを見回した。わたしの寝台《ねだい》のわきにねむっていたカピは、うなり声を立てて起き上がった。わたしはそのときその明かりが馬車の小窓《こまど》からはいって来ることを知った。その小窓
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