は荷台まで大きな屋台|付《つき》馬車があった。かれはその一つのドアを開けると中に小さな寝台《ねだい》二つ重なって置《お》いてあるのを見た。
「ほら、これがおまえたちのねどこだ」とかれは言った。「まあ、おやすみ」
これがわたしの家族からこの夜|初《はじ》めてわたしの受けた歓迎《かんげい》であった。
りっぱすぎる父母
父親はろうそくを置《お》いて行ったが、車には外から錠《じょう》をさした。わたしたちはいつものようにおしゃべりはしないで、できるだけ早くねどこの中へもぐった。
「おやすみ、ルミ」とマチアが言った。
「おやすみ」
マチアはわたしと同じように、もうなにもものを言いたがらなかった。わたしはかれがだまっていてくれるのがうれしかった。わたしたちはろうそくをふき消したが、とてもねむれそうには思えなかった。わたしはせま苦しい寝台《ねだい》の中で、たびたび起き返っては、これまでの出来事を思いめぐらした。わたしは上の寝台にいるマチアがやはり落ち着かずに、しじゅうねがえりばかりしている音を聞いた。かれもやはりわたしと同様、ねむることができなかった。
いく時間か過《す》ぎた。
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