ょうばつ》を見ているにしのびないというようであった。
 わたしは一人すみっこに立って、いきどおりとおそれにふるえていた。これがわたしの親方になろうとする男なのである。わたしもこの男に言いつけられた物を持って帰らなければ、やはりリカルドに背中《せなか》を出さねばならなかった。ああ、わたしはマチアがあれほど平気で死ぬことを口にしているわけがわかった。
 ぴしり、第一のむちがふるわれて、膚《はだ》に当たったとき、もうなみだがわたしの目にあふれ出した。わたしのいることは忘《わす》れられていたと思っていたけれど、それは考えちがいで、ガロフォリは目のおくからわたしを見ていた。
「人情《にんじょう》のある子どもがいる」とかれはわたしを指さした。「あの子はきさまらのような悪党《あくとう》ではない。きさまらは仲間《なかま》が苦しんでいるところを見て笑《わら》っている。この小さな仲間を手本にしろ」
 わたしは頭のてっぺんから足のつま先までふるえた。ああ、かれらの仲間か……。
 第二のむちをくって犠牲《ぎせい》はひいひい泣《な》き声《ごえ》を立てた。三度目には引きさかれるようなさけび声を上げた。ガロフォリが
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