。そのあいだに二スー足りない子どもは上着のボタンをはずしていた。やがてシャツまでぬいでからだをこしまで現《あらわ》した。
「ちょっと待て」とガロフォリがいまいましい微笑《びしょう》を見せて言った。
「たぶんきさまだけではあるまい。仲間《なかま》のあるということはいつでもゆかいなものだし、リカルドにたびたび手数をかけずにすむ」
 子どもたちは親方の前に身動きもせずに立っていたが、かれの残酷《ざんこく》なじょうだんを開いて、みんな無理《むり》に笑《わら》わされた。
「いちばん笑ったやつはいちばん足りないやつだ」とガロフォリが言った。「きっとそれにちがいない。いちばん大きな声で笑ったのはだれだ」
 みんなは例《れい》の大きな材木《ざいもく》を持って、まっ先に帰って来た子どもを指さした。
「こら、きさまはいくら足りない」とガロフォリがせめた。
「わたしのせいではありません」
「わたしのせいではありませんなんかと言うやつは、一つおまけにぶってやろう。いくら足りないのだ」
「わたしは大きな材木を一本持って来ました。りっぱな材木です」
「それもなにかになる。だがパン屋へ行ってその棒《ぼう》でパンにか
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