なければ死なせてくれる。ぼくを死なせてくれればなにもかもおしまいだ。もう腹《はら》を減《へ》らすこともないし、ぶたれることもないだろう。それにぼくたちは死ねば天にのぼって神様といっしょに住むことになるのだ。そうだ、そうなればぼくは天にのぼって、上から母さんや、クリスチーナを見下ろすことができる。神様にたのんで妹を不幸《ふしあわ》せにしないようにしてもらうこともできる。だからぼくは病院へやられればうれしいと思うよ」
病院――というとわたしはむやみにおそろしい所だと思いこんでいた。わたしはいなか道を旅をして来たあいだ、どんなに気分が悪く思うときでも、病院へやられるかもしれないと思い出すといつでも力が出て、無理《むり》にも歩いたものだった。マチアのこういうことばにわたしはおどろかずにはいられなかった。
「ぼくはいまではずいぶんからだの具合が悪くなっている。だがまだガロフォリのじゃまになるほど悪くはなっていない」と、かれは弱い、ひきずるような声で話を続《つづ》けた。「でもぼくはだんだん弱くなってきたよ。ありがたいことにガロフォリはまるっきりぶつことをやめずにいる。八日まえにもぼくの頭をうんと
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