《だん》といい、いよいよわたしを安心させる性質《せいしつ》のものではなかった。いったい今度の親方というのはどんな男であろう。
 四階のてっぺんに上がって、ドアをたたくことなしに親方はすぐ前のドアをおし開けて、穀物倉《こくもつぐら》のような大きな屋根裏《やねうら》の部屋《へや》にはいった。部屋のまん中はがらんとしていて、四方のかべにぐるりと寝台《ねだい》みんなで十二ならべてあった。一度は白かったことのあるかべと天井が、いまではけむりとすすとちりでよごれきって、なんとも知れない色をしていた。かべの上にはすみで人間の首だの、花や鳥だのが落書きしてあった。
「ガロフォリさん、いるのかい」と親方がたずねた。「あんまり暗くってだれも見えない。ヴィタリスだよ」
 かべにかけたうす暗いランプの明かりですかすと、部屋《へや》にはだれもいないらしかった。すると弱いのろのろした声が、親方のことばに答えた。
「ガロフォリさんは出かけましたよ。二時間ほどしなければ帰りませんよ」
 こう言いながら十三ばかりの子どもが出て来た。わたしはその子のきみょうな様子におどろいた。いまでもそのとき見たとおりを目にうかべること
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