しはそのそばに寄《よ》りそって歩いた。
「おい、気をつけて、わたしの姿《すたが》を見失《みうしな》わないように」と親方が注意した。けれどかれの注意は必要《ひつよう》がなかった。なぜといって、わたしはかれの後にくっついて歩いたうえ、おまけにかれの上着のすそをしっかりとおさえていたのであった。
 わたしたちは大きな路地をつっ切って、もう一日じゅう日の光がけっしてもれたことのないような、きたならしい、じめじめした一けんの家にはいった。それはこれまでわたしの見たかぎりのいちばんひどい家であった。
「ガロフォリさんはいるかね」と親方が、ランプの光で、ぼろ[#「ぼろ」に傍点]をドアにぶら下げていた男にたずねた。
「知らねえや。上がって見て来い」とその男はうなった。「はしごだんのいちはんてっぺんだ。それおまえの鼻っ先に見えてるじゃないか」
「ガロフォリというのは、ルミ、おまえに話した親方だよ。ここが住まいだ」階段《かいだん》を上がりながら親方はこう言った。その階段《かいだん》は厚《あつ》いどろがこちこちに積《つ》もって、ややもするとすべって足を取られそうになった。街《まち》といい、家といい、はしご段
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