きってふきげんらしかった。
けれどある日とうとうかれのほうからわたしのほうへ近づいて来た。そしてかれのわたしを見る目つきで、このごろしじゅう知りたいと思っていたことを知ることができそうだと感じた。
それはある大きな村から遠くない百姓家《ひゃくしょうや》にとまった朝のことであった。その村はブアシー・セン・レージェという名であることは、往来《おうらい》の標柱《ひょうちゅう》でわかった。
さてわたしたちは日の出ごろ宿《やど》をたって、別荘《べっそう》のへいに沿《そ》って、そのブアシー・セン・レージェの村を通りぬけて、とある坂の上にさしかかった。その坂のてっぺんから見下ろすと、目の前には果《は》てしもなく大きな町が開けて、いちめんもうもうと立ち上がった黒けむりの中に、所どころ建物《たてもの》のかげが見えた。
わたしはいっしょうけんめい目を見張《みは》って、けむりやかすみの中にぼやけている屋根や鐘楼《しょうろう》や塔《とう》などのごたごたした正体を見きわめようと努《つと》めていたとき、ちょうど親方がやって来た。ゆるゆると歩いて来ながら、いままでの話のあとを続《つづ》けるというふうで、
「
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