かずつ仲間《なかま》をなくした悲しみをまぎらしてゆくようであった。でも習慣《しゅうかん》の力はえらいもので、ときどき立ち止まっては、一座《いちざ》の仲間《なかま》が後から来るのを待ちうけるふうであった。それはかれが以前《いぜん》一座の部長であったとき、座員を前にやり過《す》ごして、いちいち点呼《てんこ》する習慣《しゅうかん》があったからである。けれどそれもほんの数秒時間のことで、すぐ思い出すと、もうだれも後から来るはずがないと思ったらしく、すごすご後から追い着いて来て、ドルスもゼルビノも来ませんが、それでやはりちがってはいないのですというように親方をながめるのであった。その目つきには感情《かんじょう》とちえがあふれていて、見ていると、こちらも引き入れられるように思うのであった。
こんなことは、ちっとも旅行をゆかいにするものではなかったが、わたしたちの気をまぎらす種《たね》にはなった。
行く先ざきの野面《のづら》はまっ白な雪でおおわれて、空には日の光も見えなかった。いつも青白い灰《はい》色の空であった。畑《はた》をうつ百姓《ひゃくしょう》のかげも見えなかった。馬のいななきも聞こえなけ
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