ようなかっさいで終わった。かれらは両手をたたいたばかりでなく、足拍子《あしびょうし》をふみ鳴らした。
いよいよ勝負の決まるときが来た。カピはぼうしを口にくわえて、見物の中をどうどうめぐりし始めた。そのあいだわたしは親方の伴奏《ばんそう》でイスパニア舞踏《ぶとう》をおどった。カピは四十フラン集めるであろうか。見物に向かってはありったけのにこやかな態度《たいど》を示しながら、この問題がしじゅうわたしの胸《むね》を打った。
わたしは息が切れていた。けれどカピが帰って来るまではやめないはずであったから、やはりおどり続《つづ》けた。かれはあわてなかった。一|枚《まい》の銀貨《ぎんか》ももらえないとみると、前足を上げてその人のかくしをたたいた。
いよいよかれが帰って来そうにするのを見て、もうやめてもいいかと思ったけれど、親方はやはりもっとやれという目くばせをした。
わたしはおどり続《つづ》けた。そして二足三足カピのそばへ行きかけて、ぼうしがいっぱいになっていないことを見た。どうしていっぱいになるどころではなかった。
親方はやはりみいりの少ないのを見ると、立ち上がって、見物に向かって頭を下
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