は舞台《ぶたい》をこしらえたりした。そして思い切って残《のこ》りの五十スーでろうそくを買うと、それを半分に切って、明かりを二|倍《ばい》に使うくふうをした。
わたしたちの部屋《へや》の窓《まど》から見ていると、かれは雪の中を行ったり来たりしていた。わたしはどんな番組をかれが作るか、心配であった。
わたしはすぐにこの問題を解《と》くことができた。というのは、そのとき村の広告屋《こうこくや》が赤いぼうしをかぶってやって来て、宿屋《やどや》の前に止まった。たいこをそうぞうしくたたいたあとで、かれはわれわれの番組を読み上げた。
その口上《こうじょう》を聞いていると、よくもきまりが悪くないと思われるほど親方は思い切って大げさなふいちょうをした。なんでも世界でもっとも高名な芸人《げいにん》が出る――それはカピのことであった――それから『希世《きせい》の天才なる少年歌うたい』が出る。その天才はわたしであった。
それはいいとして、この山勘口上《やまかんこうじょう》で第一におもしろいことは、この興行《こうぎょう》に決まった入場料《にゅうじょうりょう》のなかったことであった。われわれは見物の義侠心
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