い》の大《おお》ふうな様子で、医者を引き止めた。それからかれは事情《じじょう》を説明《せつめい》して、ふぶきの中に閉《と》じこめられたことや、おおかみにこわがってジョリクールがかしの木にとび上がったこと、そこで死ぬほどこごえたことを話した。
「病人はたかがさるにすぎないのですが、しかしなんという天才でありますか。われわれにとってどれほどだいじな友だちであり、仲間《なかま》でありますか。どうしてこれほどのふしぎな才能《さいのう》を持った動物をただの獣医《じゅうい》やなどに任《まか》されるものではない。村の獣医というものはばかであって、その代わりどんな小さな村でも、医師といえば学者だということはだれだって知っている。医師の標札《ひょうさつ》の出ているドアの呼《よ》びりんをおせば、知識《ちしき》があり慈愛《じさい》深い人にかならず会うことができる。さるは動物ではあるが、博物学者《はくぶつがくしゃ》に従《したが》えば、かれらはひじょうに人類《じんるい》に近いので、病気などは人もさるも同じようにあつかわれると聞いている。のみならず学問上の立場から見ても、人とさるがどうちがうか、研究してみるのも興
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