たなければならない」と親方が言った。
「どのくらいで明けるでしょう」
「二時間か三時間だろう」
親方は両手で頭をおさえてたき火の前にすわっていた。
わたしはそれをじゃまする勇気《ゆうき》がなかった、わたしはかれのわきにつっ立って、ただときどき火の中にえだをくべるだけであった。一、二度かれは立ち上がって戸口へ行って、空をながめてはじっと耳をかたむけたが、また帰って来てすわった。
わたしはかれがそんなふうにだまって悲しそうにしていられるよりも、かまわずわたしにおこりつけてくれればいいと思った。
三時間はのろのろ過《す》ぎた。その長いといったら、とても夜がおしまいになる時がないのかと思われた。
でも星の光がいつか空からうすれかけていた。空がだんだん明るく、夜が明けかかっていた。けれども明け方に近づくに従《したが》って、寒さはいよいよひどくなった。戸口からはいって来る風が骨《ほね》までこおるようであった。
これでジョリクールを見つけたとしても、かれは生きているだろうか。
見つけ出す希望《きぼう》がほんとにあるだろうか。
きょうもまた雪が降《ふ》りださないともかぎらない。
でも
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