かりもなかった。
 どこかたばねたまきのかげにでもかくれているのではないかと思って、わたしたちはまた小屋へ帰って、しばらく探《さが》し回った。いく度もいく度も同じすみずみを探した。
 わたしは親方の肩《かた》に上って、屋根に葺《ふ》いてあるえだたばの中を探してみた。二度も三度も呼《よ》んでみた。けれどもなんの返事もなかった。
 親方はぷりぷりかんしゃくを起こしているようであった。わたしはがっかりしていた。
 わたしは親方に、おおかみがかれまでも取って行ったのではないかとたずねた。
「いいや」とかれは言った。「おおかみは小屋の中までははいっては来なかっただろう。ゼルビノとドルスは外へ出たところをくわえられたかと思うが、この中までははいって来られまい。たぶんジョリクールはこわくなって、わたしたちの外に出ているあいだにどこへかかくれたにちがいない。それをわたしは心配するのだ。このひどい寒さでは、きっとかぜをひくであろう。寒さがあれにはなにより効《き》くのだから」
「じゃあどんどん探《さが》してみましょうよ」
 わたしたちはまたそこらを歩き回った。けれどまるでむだであった。
「夜の明けるまで待
前へ 次へ
全320ページ中251ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
楠山 正雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング