。「火が消えたら、ここへこのとおりたくさん採《と》っておいたまきをくべればいい」
なるほどかれはたき火のわきに小えだをたくさん積《つ》み上げておいた。わたしよりずっと少ししかねむれない親方は、わたしがいちいちかべからまきをぬくたんびに音を立てて目を覚《さ》まさせられることをいやがった。それでわたしはかれのこしらえておいてくれたまきの山から取っては、そっと音を立てずに火にくべれはよかった。
たしかにこれはかしこいやり方ではあったけれど、情《なさ》けないことに親方は、これがどんな意外な結果《けっか》を生むかさとらなかった。
かれはいまジョリクールを自分の外とうですっかりくるんだまま、たき火の前にからだをのばした。まもなくしだいに高く、しだいに規則《きそく》正しいいびきで、よくねいったことが知れた。
そのときわたしはそっと立ち上がって、つま先で歩いて、外の様子がどんなだか、入口まで出て見た。
草もやぶも木もみんな雪にうまっていた。日の届《とど》くかぎりどこも目がくらむような白色であった。空にはぽつりぽつり星の光がきらきらしていた。それはずいぶん明るい光ではあったが、木の上に青白い光
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