降《ふ》りだしていた。ずいぶんしつっこく降っていた。わたしたちは白い地べたのしき物が高く高くふくれ上がって、しまいに、小さな若木《わかぎ》や灌木《かんぼく》がすっかりうずまってしまうのを見た。夜になっても、大きな雪片《せっぺん》がなお暗い空からほの明るい地の上にしきりなしに落ちていた。
わたしたちはいよいよここへねむるとすれば、なによりいちばんいいことは、できるだけ早くねつくことであった。わたしは昼間火でかわかしておいた毛皮服にくるまってまくらの代わりにした。平ったい石に頭をのせて、たき火の前に横になった。
「おまえはねむるがいい」親方が言った。「わたしのねむる番になればおまえを起こすから。この小屋ではけものもなにも心配なことはないが、二人のうち一人は起きていて、火の消えないように番をしなければならない。用心してかぜをひかないように気をつけなければいけない。雪がやむとひどい寒さになるからな」
わたしはさっそくねむった。親方がまたわたしを起こしたときには、夜はだいぶふけていた。たき火はまだ燃《も》えていた。雪はもう降《ふ》ってはいなかった。
「今度はわたしのねむる番だ」と親方が言った
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