がりこうであるか知った。
親方がナイフをズボンのかくしにしまうと、これは食事のすんだ知らせであったから、カピは立ち上がって、食物を入れたふくろのにおいをかいだ。それから前足をふくろにのせてこれにさわってみた。この二重の吟味《ぎんみ》で、もうなにも食物の残《のこ》っていないことがわかった。それでかれはたき火の前の自分の席《せき》に帰って、ゼルビノとドルスの顔をながめた。その顔つきはあきらかにどうもしんぼうするほかはないよという意味を示《しめ》していた。そこでかれはあきらめたというように、ため息をついて全身を長ながとのばした。
「もうなにもない。ねだってもだめだよ」かれはこれを大きな声で言ったと同様、はっきりと仲間《なかま》の犬たちに会得《えとく》さしていた。
かれの仲間《なかま》はこのことばを理解《りかい》したらしく、これもやはりため息をつきながらたき火の前にすわった。けれどゼルビノのため息はけっしてほんとうにあきらめたため息ではなかった。おなかの減《へ》っているうえに、ゼルビノはひじょうに大食らいであった。だからこれはかれにとっては大きな犠牲《ぎせい》であった。
雪がまたずんずん
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