でいた。わたしもかれらの例《れい》にならおうと考えた。けさは早かった。いつやむか、見当のつかない雪を見てくよくよしているよりも、白鳥号に乗って、ゆめの国にでも遊んだほうが気が利《き》いている。
 わたしはどのくらいねむったか知らなかった。目が覚《さ》めると雪がやんでいた。わたしは外をながめた。雪はひじょうに深かった。無理《むり》に出て行けばひざの上までうずまりそうであった。
 何時だろう。
 わたしはそれを親方にたずねることができなかった。なぜなら例《れい》のカピが時間を示《しめ》した大きな銀時計は売られてしまった。かれは罰金《ばっきん》や裁判《さいばん》の費用《ひよう》をはらうためにありったけの金を使ってしまった。そしてディジョンでわたしの毛皮服を買うときに、その大きな時計も売ってしまったのであった。
 時計を見ることができないとすれば、日の加減《かげん》で知るほかはないが、なにぶんどんよりしているので、何時だか時間を推量《すいりょう》するのが困難《こんなん》であった。
 なんの物音も聞こえなかった。雪はあらゆる生物の活動をそれなりこおらせてしまったように思われた。
 わたしは小屋の
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